懐刀

834 刀剣ふしぎばなし **/**/** **:** ID:9JXRatK4JS

現世へ旅行に行った時のことだ。

恥ずかしいことだが主と俺ははぐれてしまった。

だが、ただはぐれただけならすぐ連絡を取り合い合流するんだが、何か様子がおかしい。

刀剣男士なら主の気配の方向が大体分かったりするものだがそれもない、通話もできない。

慌てて窓口に連絡したら予想通り主の反応はロストしていると言われた。

恐らく狭間に入ってしまったのだろうと言われ相談課の職員が派遣されて来た。


が、職員も万能なわけではなく、

狭間へと繋がる場所は特定してくれたもののそこから先へは弾かれてしまって入れなかった。

俺も、職員も。

こうなってしまっては待つことしか出来ないので俺はただ祈り主の名前を呼んでいた。

それしか出来なかった。

835 刀剣ふしぎばなし **/**/** **:** ID:hRe4ZcadwP

不安だよな

分かるぞ

836 刀剣ふしぎばなし **/**/** **:** ID:9JXRatK4JS

>>835

ありがとう。


するとしばらくしてもう大丈夫だ!という声が聞こえた。

愛染国俊の声だった。

愛染は本丸で留守番をしているはずだったし、主と特別仲が良いわけでもないのにどうして?と思った。

が、そのすぐあとに主が狭間から出て来てそんなこと気にしてられなくなった。

ぐったりしている主を旅館まで背負ってそこで応急処置をした。

そこで俺は初めて主の懐刀の話を聞いた。


主には師匠がいて、その師匠は数年前に亡くなっている。

師匠が亡くなる前に遺産相続のような形で主に渡したのが懐刀だった。

それが愛染。

師匠の愛染は、同意のもと刀に戻って主の懐刀として人の身を持たずにこの数年を過ごしてきたらしい。

俺たちがそれに気付かなかったのは、

師匠から出来るだけ秘密にするようにと言われたことと、

師匠の親戚の術師に認識逸らしの術をかけてもらっていたから、らしい。

懐刀の愛染は本当にピンチの時にだけ起きるつもりで基本は眠っているのだと主は言っていた。

その愛染が今回、ピンチだということで起きてくれたんだと。

主を狭間に呼び込んだ主を太陽のごとく退けてくれた、と主は言っていた。


主の刀剣男士として、悔しい気持ちもあるが、

主の師匠の気持ちが愛染にそのまま受け継がれていたようで嬉しかった。

うちの主は師匠によく懐いていたし、師匠も主を可愛がってくれたからな。

懐刀は主は肌身離さず持ち歩いているし、

そもそも基本は寝ているのだから俺が話し掛けることも出来ないけれど、

今度見掛けたらありがとうと言いたい。

837 刀剣ふしぎばなし **/**/** **:** ID:sZmFQu7d5p

姿が見えなくてもお礼を言ってあげるといいよ

刀に戻ってる時って寝てても結構周りのこと

耳に入ってくるし





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執筆
Nandina