私を邪魔するすべてのもの 私と敵対するすべてのもの 私はあらん限りの誠意を持って それら一切 薙ぎ払う
006 失敗
至極間抜けな音を立てて、カナタと玄は地面に落ちた。 「う、わ、やっぱり失敗した…」 いてて、と起き上がる玄。 カナタは寝転がったまま空を見上げていた。 腹立たしい程、青い空。 どうしてこんなことになったのか、カナタには良く分からない。 扉を開けて進んだところが空だった、それくらいは勿論、分かっているが。 「…失敗?」 「うん、今回ちょっとねー。ある程度の予想はしてたんだけど、まさか空に出るなんて」 玄は苦笑する。 その笑みにどうやらそう事態は深刻ではなさそうだ、と一人思う。 「さ、カナタ、立って」 「もう少しこうしていたい」 こんなに良い天気なのだ、それに先ほどの衝撃でちょっと身体がだるい。 打ったところはないが、それでも直ぐに立てというのは少しひどい話だ。 しかし、現実はそうもいかないようで。 「死にたいの?」 小首を傾げて可愛らしく、そう問うた玄に、初めてカナタは気付く。 近付いてくる足音。 かなり多いそれは地鳴りのようで、 「いたぞ、こっちだ!旅禍を見つけたぞー!!」 曲がり角の向こうから、黒い集団がやってきた。 もしかしなくても、旅禍とは自分たちのことだろうか。 嫌な顔をするカナタの腕を玄が掴んで引っ張り上げる。 「さて、逃げようか」 楽しそうな声、語尾に音符でも付きそうだ。 「逃げるってどこへ?」 「えーっとね、」 ぐい、と引っ張られる。 「―――のところ!」 風の音に消されて、何と言ったのかは分からなかった。 ズドーン!と大きな音が瀞霊廷内に響き渡る。 「わぁ、気分爽快!」 玄は笑いながら言うが、笑い事ではないと腕を引かれたままのカナタは思った。 鬱憤でも溜まっていたのだろうか、ストレス解消と言わんばかりの乱雑さで玄は刀を振る。 いつの間にか玄の手に現れたそれが斬魄刀であろうことは、聞かなくても分かった。 今は追手の妨害にしか使っていないけれども、 この刀、一振りで七、八人まとめて吹っ飛ばすことが出来るのだから怖い。 普通の人間なら死んでいる。 「…あの人たち、大丈夫?」 それでも不安になったので聞いてみると、 「うーん…多分!」 ひどく心もとない答えが返って来た。 聞くんじゃなかった、と肩を落とす。 暫くすると進行方向に建物が見えてきた。 隊舎だろう、カナタはもらった知識を引っ張りだす。 「さ、入って入って」 玄が人差し指を振ると魔法のように窓がばっと開いた。 今のは何だとツッコミたかったが、仕事が仕事だ、基本何でもありなのだろうと問うのを諦める。 いちいち聞いていたら身がもたなそうだ。 楽しそうに廊下を走って行く玄の後ろ姿を追いながら、カナタは盛大にため息を吐いた。   
20140630