さあ ほら なけなしの殺意でかかっておいで
010 紹介
運が良かったのか、一時間後には全員が玄の前に揃っていた。 山本から簡単な説明があり、それに興味を示す者、示さない者、 疑う者、珍しさに目を見開く者―――反応は様々だった。玄はじっとそれを観察する。 前もって情報があるとは言え、実際に見て会って確かめる、それが重要なことには変わりない。 自己紹介でもしろ、との言葉に一歩、踏み出す。 「ど〜も。この度時空管理局から派遣されました実働職員、虚口玄です。 時空管理局なんて聞き慣れないかもしれませんけど、世界のバランスを取るのがお仕事でーす!  なのでまぁ、こうして紛れるために死覇装は着てますし、死神の力もありますけど、 特に貴方たちの味方って訳じゃないので戦力としては期待しないでくださいね!」 そんなあけすけな言葉にぴり、と空気が揺れる。 「あっだからって今僕を殺そうと思った人、無駄なのでやめてくださいね。 僕らは世界に介入する時、絶対に死なないようになっている。 それをどうこうしようなんて時間の無駄でしょ。 僕は仕事がしたいだけなんだから、ちょっと煩い空気がいるとでも思ってくださいな」 あっ、あと検体になるとかも御免ですのでご了承ください〜、 というのは確実に特定個人に当てられた言葉であったが、その場にそれを指摘する者はいない。 「まぁ仕事があまりに立て込んでたりするのなら、お手伝いくらいはしますよ〜っと」 仕上げにくるりと回って、ぺこり、お辞儀をする。 「という訳でっ、よろしくお願いします」 暫く、彼らはしん、としていた。 「総隊長」 ゆるゆると控えめに挙げられた手が静寂を破る。手が上がったのは右列の中程、眼鏡を掛けた優男。 「なんじゃ、藍染」 「こうして紹介があったということは、その方は何処かの隊へ所属するということなのでしょうか」 その問いに玄はにこにこと笑みを崩さない。 山本はその片目をぱちり、と開けてから、うむ、と頷いた。そして虚口、と呼ぶ。 「何処ぞ希望はあるかの」 「えっ僕が選んで良いんですか?」 「儂の記憶が正しければ、前回はそうしておったと思うが」 「前のことは知らないですけど助かります〜。 その方が勿論僕も動きやすいですし! やっぱり分かる人がトップだと良いですね!」 やった〜と元は山本の隣から躍り出る。 くるり、くるりと。全員を選別するように見回した。 「じゃあ僕は〜…」 とん、たん、たん。全員の前を一周してから、 「冬獅郎」 その身体がふわり、とその前に降りる。 「よろしくね」 翡翠の瞳が見開かれて、それから諦めたようにはぁ、とため息が吐かれた。 「…俺のところで良いのか」 「いやだなぁ冬獅郎。僕が君以外のとこを選ぶと思ったの?」 笑う。 そうして差し出された手に笑って、日番谷はその手を取った。   
20150124