物心ついた頃からバスケが好きだった。
当たり前のようにミニバスに入って、足りない時はストリートにも行って。
朝から晩まで三度の飯よりバスケ。
そんな生活だった。
それを全面否定したくなったのは、中学の時だ。
叩き付けられるような絶望に、バスケなんて嫌いになってしまおうと思った。
そんなこと出来るのか、と囁く声も聞こえていた。
結果、それは出来なかった。
どれだけ嫌いになろうとも、バスケを好きなことを否定なんて出来なかった。
だから、忘れてしまうことにした。
出来る限り最悪の方法で、穢して、忘れてしまおう。
自問自答の末に辿り着いたのは、恐らく一番最悪であろう道。
そいつに会ったのはちょうどその頃。
これからどんどん堕ちていくだろう自分と正反対の、きらきらした人間。
自分が如何に醜いものなのか、示されている気がした。
同じでいられれば良かったのに。
既に花宮はその道を選択して踏み出してしまった後で、もう後戻りなど出来ない。
道を違えたことを悔やむことはしない。
これを選んだのは、他でもない自分なのだから。
けれど、ただ純粋に羨ましいと思った。
偽らずに全身で大好きだ、と叫ぶその様が。
その声に着いて来る、夢を語る仲間たちが。
守り守られ、そういうチームプレイもあるのだと感心したのも事実だ。
けれど、それは自分には要らないもの。
持てないもの。
そう思うことで、羨望を殺した。
殺したと思っていた。
自分でも気付かぬ程度に生き残ったそれは、いつしか嫉妬へと形を変えていった。
キセキの世代―――その恐ろしさはあたった者にしか理解出来ないのだろう。
当たって砕ける、なんて言葉が可愛らしく聞こえるようだった。
目の前に横たわる圧倒的な差に、目の前が真っ暗になるのを感じた。
自分と同じような気持ちを持った人間は、他にもいるようだった。
が、傷を舐め合うような真似も出来ない程、明瞭な感情。
それは確かな絶望。
あと少しで手が届くと見せかけて、そこには深い深い溝が横たわっていて。
どうして、と。
神様が中途半端な才能を持った者に与えた罰。
扉は固く閉ざされていて、中の様子さえ分からない。
叩き続けた拳はもう血すら出なくなっていて。
ああ、神様。
オレたちが嫌いですか。
きらきらしたそいつも同じように絶望を味わわされて、やっぱりこれは罰なんだと思った。
もう、真面ではいられない。
「オレは、花宮がどんな選択しても、ついていくよ?」
隣で原が言った。
自然と唇が歪むのを感じる。
「後悔、すんなよ?」
吐いた言葉は、一体誰に向けたもの。
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20121106