第五話 質問役は必要不可欠
マタタビ。
その単語が花宮の頭の中を駆け巡る。
「マタタビっていうと、あの…」
「あの。ライオンもめろめろになる、あの」
それは知らなかった。
と、素直に認められないのはこの探偵の素行の所為であると、花宮は言いたい。
「今吉さんは相変わらず雑学がお得意ですね」
「花宮と違うていろんなことに使える頭の容量があるからな〜」
ああ言えばこう言う。
「まーちゃんと藤棚にしとるくらいや。
あれだけネコちゃんがおっても、ネコ害とかは少ないんとちゃう?」
「ええ、まあ…対策は、しておりますし」
「対策?」
「市販の猫除けですが、困るほどの被害は出ていません」
今吉の問いの答えたのは剣路だった。
「そもそもうちの猫たちは去勢手術がすんでいるものばかりですので、そこまで…」
「ほう。それは剣路さんが?」
「はい。私が持ち込んだような猫たちですので…」
「ほほう。なかなか良え心構えの飼い主さんやな」
「あの、でも、それが事件と何の関係が…」
「剣路さん!」
突然大声で名前を呼ばれた剣路がびくっと肩を震わせる。
誰でも突然大声で呼ばれればそうなると思う。
花宮は心の中で合掌する。
が、実際はその裏で、標的が移ったことに感謝していた。
「良え質問や…この上なく良え質問や…」
「あの…?」
「剣路さん、あのな。
ネコ害が少ないー言うことは、
皆さんマタタビ摂取のネコちゃん、見たことないかもしれない言うことや」
どうです?見たことあります?と問いかけられて、首を振る善知鳥と厨房組。
ほおら、と嬉しそうな顔をする今吉に、それで?と問う剣路。
「それが、どうしたって言うんです」
「その前に、まだ聞かないけないことがありましてね」
楽しそうにくるくる回り始めた中年男に、もはや花宮は注意することを放棄した。
この男はこんなんだが、一応名探偵で、任された事件はどうであろうとどうせ解決するのだ。
その点については心配ない。
ならばもう、花宮は自分の胃の心配をすべきだ。
「皆さん、あのキウイに猫団子出来てるの、見たことありました?」
← □ →
20141113