白狐の黎明堂では、
クリスマスの前日、天皇誕生日に、プレゼント交換を行う。
そして開けるのは、今日、24日。
ベリーメリークリスマス!
「メリークリスマス!!」
パァンッ
大きな声&音と共に出てきたのは、いっつもテンションの高い人。
神無咲十六夜。女。通称・いざやん、宇宙人、イザ子など。
この人はいずみ曰く、「変な趣味の人だと思うヨ」らしい…。
家に妙なコレクションがあるとか。
「おはようございます、十六夜さん」
涼水はクラッカーの紙切れを払いながら言う。
「すずちゃんはどんなプレゼントもらったのー?」
「私は、本とかそういうのばっかでした。あ、この店の地図とかもありましたよ?」
あれは絶対いずみだと思うけど。
「気に入ってもらえた?」
「はい、もちろん」
ちなみに十六夜さんからは、本をもらった。
“世界の植物百科”
サブタイトルが“身近からレアまで”。
そして帯に書いてあるのが、“これ一冊で、暗殺も可能!”
…何に使うのだろう。
「私のはどうでしたか?」
「すずちゃんからのは、シルバーのブレスレットだよね」
ほとんど全員に、私はアクセサリーを贈った。
どんなものを贈って良いか分からなかったし…。
アクセサリーなら、似合うものを選べば良いだけだから。
「仕事中もあんまり邪魔にならないデザインだったし、気に入ったよ」
十六夜はにっこり笑った。
お昼頃になると、ぞろぞろとみんなが集まってきた。
「こんにちはー。あれ、涼水だけ?」
涼水と十六夜がコタツで蜜柑を食べていると、背の高い人―――水無月凜がやって来た。
「私も居るよー」
十六夜が手を振る。
「いずみ、まだ寝てるの?」
凛は無視する。
…まぁ、今に始まったことではない。
「はい。昨日は朝の四時まで起きてたみたいなんですよ」
いずみは毎日夜中まで起きている。日付を越すのも稀ではない。
「ふーん、ま、いいや」
その後にっこり笑って、
「どうだった?プレゼント」
「青いエプロンとバンダナですよね」
凛は裁縫がうまい。
常連メンバーがそろいもそろって、『神!』と崇めるくらいだ。
…みんなが不器用だっていうのもあるけれど。
「ありがとうございます。部屋の掃除とかの時にするのがなかったんですよ」
涼水もにっこり返した。
と、この辺で、涼水がもらったものを紹介しておこう。
十六夜からは、“世界の植物百科”。
凛からは、青いエプロンとバンダナ。
鳳梨鹿驚からは、“ビーズアクセサリーの作り方”。
來坡琥洵からは、アヒルのパペット。
草希からは、“広●苑(第五版)”。
四日四月からは、“たなちゅうと33匹のネズミ”の全三巻。
そしていずみからは、白狐の黎明堂の地図。
本の割合が多い。
いずみと四月以外の全員が集まって、(四月は仕事で来れない)コタツで蜜柑を食べていた。
チリン
鈴の音がして、現れたのは。
「いずみ…?」
涼水があんぐり口を開いた。
「じんぐるべーじんぐるべーすずがーなるー♪」
いずみはニコニコと笑いながらうたう。
その度に鈴が鳴った。
確かに、鈴は涼水からのプレゼントだ。
首輪に付いた鈴。
いや、変な意味ではない。ただ…似合うと思ったから。
「…何のコスプレ?」
やっと、鹿驚が口を開いた。
「見て分かるでしょー。キツネだヨ」
いずみは笑ったまま。
いずみの頭には…うん、あれはどう見ても狐だな。
狐の耳が付いていた…。
いわゆる、獣耳。
「ていうか、“じんぐるべー”じゃなくて“ジングルベル”だよ」
草希の厳しいツッコミ。
「別に良いじゃん〜」
「…何で?」
やっと涼水が口を開いた。
「え?…あぁ。これが凛からのプレゼントだから」
「………」
視線が凛に集中する。
「ウチは洵に何が良いか相談したら、『狐耳が良いよー』って言われたからやっただけ」
「洵…」
次は洵に視線が集中。
「別に良ーじゃん。おもしろいんだしさー」
備考・洵はおもしろいことが大好き。
その日、いずみはみんなに言われて、仕方なく狐耳を外していたとさ。
おまけ
20071220