まるで悲鳴 R18

 ぐちぐちと丁寧に解したその場所へと本来の目的だろうとばかりに充てがうと、やっとその頬が明確な怯えに彩られた。ここまで嫌悪は見え隠れしても、怯えは見られなかったためにもしかしたら経験でもあるのか、仮にも神のくせに、と思っていたのだが、別にそういう訳ではないらしい。安心する。
「もう少し解してやろうか?」
頷くことはないのだろう、そう思うが問う。こんなことになっていて説得力はないかもしれないが、別に彼を痛めつけたい訳ではないのだ。彼が、頷いてくれれば。そんなことすら思う。
「………いや」
 予想通り、その首は振られた。
「いい…その、まま。…こい」
一応は彼の主である少女と、同格、ということになっているのに。命令形。それが彼の虚勢の現れなのだろう、分かってはいるけれども苦笑する。見上げてくる瞳は挑戦的で、ああどうして、と思った。そんな目をするから、理性とかいうものがこの手から零れ落ちていく。
 ぐっと衝動に任せてすすめた先はひどく狭かった。息の仕方を忘れたような口に指を差し込む。
「吸って」
こじ開けられた口で、必死に言う通りにする様子がいじましい。
「吐いて」
繰り返すうちに、戻ってくる呼吸。でも焦点は定まらないまま。浅く抽挿を繰り返せば、小刻みに上がる嬌声。
 はく、と震えた唇が、呼んだのは。
 兎に角自分ではないと分かって、その夜はもう、優しくすることを諦めた。



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服を脱がせる 

 ゆらりと不思議な焔が照らす暗い部屋で、自らの服に手をかけた彼を思わず止めた。
「…何か」
「いや、今日は僕が脱がそうかと思って」
怪訝そうに眉を寄せられるも、とりあえずは納得したようで手は膝の上に戻る。
 それを見届けてから正面に膝をついて、その形の良い耳を撫ぜた。
「君は本当に聞き分けがいいね」
「…そうか?」
耳の後ろを擽ってやると、細められる目。猫のようだな、と思いながらその間に反対の手は袖から腕を辿っていく。どちらかというと忠犬のイメージだったが。
「…おい」
「ん? ああ、ちゃんと脱がせるよ」
 一ヶ月に二、三日しか滞在しない此処に着替えはそう多く置いていないし、彼も彼で着替えなど持ってきてはいないだろう。服を汚せば、自室まで帰るのに困ることになる。別に、こちらとしては困ることはないが、それくらいの良識はある。
「だから安心して」
笑ってみせれば諦めたのか、その視線は落とされた。
 本当に聞き分けが良いと、少しだけ苛立って、上腕の辺りに爪を立てた。



(それも一つの楽しみ)



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もう許して R18

 ぐるぐると同じところを回っているような心地だった。
 何かこの男の機嫌を損ねるようなことをしただろうか、とへし切長谷部は朦朧と考える。淡白という訳ではないだろうが、今までそう追い詰められたことはなかった。男の底などはかりかねるが、れでもこんな、延々とおあずけを食らわせるような真似はされなかった。
 この男を、読み違えていたのか。
 口の端から、また新しいだ液が溢れるのを感じた。拭う余裕もない。
「アッ、あ、ァあンんっんぁ、…ああッ」
次々と与えられる快楽だけが、ただ身体に蓄積されていく。
「もっ、もう…ッ」
「なんだ」
「い、いきた、ァッ」
「いってるだろう?」
「そう、じゃ、んんっ、ら、くて、」
目がちかちかする。
「だ、したぁ…ッい…っ」
 男が持ってきたのは小さな機械だった。輪の形をしたそれをどう使うのか聞くのも面倒で好きにさせた結果がこれだ。まぁ元々へし切長谷部に拒否権などないのかもしれなかったが。すっかりたちあがらせられて、もう少し、というところでその輪がはめられた時の動揺は恐らく、この人の身を手に入れてから一番のものだっただろう。なんで、と上げようとした言葉は振動によって消えた。男が手に小さな操作盤を持っているのに気付いたのは、布団にひっくり返ってからだった。
 男の表情はよく見えない。懇願を繰り返しても尚、望んだ解放は与えられない。どうしたら、とまた新しく涙が零れた。男の指が、そっとそれを拭っていった。



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枯れ果てた庭の枯れ果てた蕾に 

 今日は良い、と言われて目を見開いた。別に行為に及ばない日がない訳ではなかったけれど、大体そういう時は前触れがあったから。今日はそれがなかった。
「…何故」
思わず溢れる言葉。自分は何か見落としをしてしまっただろうか。何か、この男の気を削ぐようなことを、してしまっただろうか。
 それを拾った男が、はん、と鼻を鳴らす。
「それ、本気で言ってるの?」
どくどくと、胸が鳴る。
「あの子が、心配していたよ」
蘇るのは、今日の出撃の記憶。燃える、燃える、燃え落ちるその寺を眺めてて目に焼き付けて、それで思ったのは一体何だっただろう。隣の陸奥守吉行が心配そうな目で見ていた。その視線を振り切るようにいつもの台詞を放って、いつものように帰って来たはずだけれど。
「あれはあれで聡い」
言われてしまえば、顔を覆うしかなかった。
「君は、どうしたかったの」
誘導尋問だ。そう思ったのに、唇が震える。懺悔のように、罪の告白のように。
 赦しを、乞うように。
「…出来る、ことなら、」
ああ、それ以上は。
「………あの日を、やり直し、たかった…」
 死んで欲しくなかった。手放して欲しくなかった。ずっとずっと、最期までお供をしたかった。たとえ自らの譲渡に意味があったのだとしても、それでも頭と心は、違う。
「………そう」
男は頷いただけだった。それ以上は何も言わなかった。手が伸びて来て、するすると指が髪に絡んでいく。それが赦しのように思えて、顔を上げられなかった。



手で顔を覆う様にしながら あなたは 「出来る事ならあの日をやり直したかった」 と言いました。
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無条件降伏 

 じっと、その背中を見つめる。
 真面目な男、なのだと思う。感情も腹の底も読み辛いこの男が何を考えてへし切長谷部を抱いているのか、未だ良く分からないけれど。がりがりと文字が紡ぎだされる音。先ほどから男はへし切長谷部を放ったまま書類に向かっている。
 正座していた布団からそっと立ち上がると、その背中へと近付いた。同じ部屋にいるのだから気配を消すことはしないが、音は立てない。
「………」
名前を、呼ぶこともしない。
 黙ってそのスーツの裾を引く。
「…斬らないのか」
「刀は置いてきてある」
「はは、そうか」
書類は一区切りついたらしかった。伸びをしてから男が振り返る。
 いつものように薄ら笑いを貼り付けた彼に逆らおうと思わないのは、一体全体どうしてなのだろう。



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20161019 まとめ