星間旅行 

 慌ただしいものだった。元々家族なんていないのだ。彼女の刀剣男士と、彼女の受け持った後輩、そして喪主の自分。それだけで済んだ、とても静かな葬式だった。寂しいとは思わなかった。これくらいが本望だろうとも思う。
 今も尚煙を出して身体を燃やすのに時間をかけるのは、この国の風習なのだろう。元の時代には戻れないけれども、結局未来でも何も変わらない。遺骨は元の時代に持ち帰って、政府墓地に埋葬する予定だけれど。
 煙を見上げていると彼女の一番の腹心が現れた。腹心などと、それを認めた覚えはなかったが。悲しいな、と彼は言った。悲しいのか、と思ったけれども何も言わないでいた。何を言っても彼女の遺した彼らにとっては、酷い言葉になってしまいそうだったから。
「ああ本当であれば俺は君を慰めるべきなんだろうな」
「薄情な神様は黙っていてもらえます」
「本当は俺のことだって薄情だなんて思っていないくせに」
それには答えなかった。
 これ以上は本当に何も言えなかった。
 彼女が死んだのは彼らの所為ではない。そうだとしても、彼女はそれをよしとしたのだ。部外者がとやかく言う筋合いはない。
「…お前、何でいるんだよ。仲間は」
「君の傍にいないといけないと思ったからな」
主は心配するだろうから、と彼は言った。それが嘘ではないと分かったので、一度そのまま目を閉じた。



だから いまは ただひとりにしておいて 

ほんのすこしだけ しんでいたいの 

ほんとにしぬのは わるいことだから 

おんがくもきかずに あおぞらもみずに 

わたし ひとりで もくせいまでいってくるわ

谷川俊太郎「ひとり」

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20180223