消え行く可能性の一筋の光 

 にっかり青江にその話をしたのはただの情報共有だった。世間話、そうと言っても
良かったかもしれない。なのに蓬莱柿が思っていたよりもにっかり青江は険しい顔を
していて、ああこれは柚練のにっかり青江にも蓬莱柿にも分かっていなかったことがこのにっかり青江には分かっている、ということだった。
 彼はそう同期能力が高い訳ではない。それでも話を聞いただけでこの表情だ。桔梗(ききょう)のところのにっかり青江に持ち込む羽目にならなくて良かった、と思う。
「にっかり青江」
「分かってるよ」
何が分かっていると言うのか。蓬莱柿には分からない、分からないがにっかり青江には分かっていて、きっと蓬莱柿の理解は彼にとってどちらでも良いのだろう。
「そんなことになんか、させるものか」
ぎゅっと唇を噛んだ彼が、まるで人間のように見えた。

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20180223