我が世誰ぞ常ならむ



宗三左文字は暫くの間、悩んでいたようだった。
そりゃあまあ猫が審神者なんて迷うのも仕方ないとは思うが、彼の場合それだけではない気もした。
自分のことで―――此処へ来てからは他の濃ゆい面子の面倒を見ることで、
手一杯な加州清光にはそれ以上のことは分からなかったが。
「少しの間、此処においてもらえませんか」
漸く出された答えはそんなものでした。そしてそれに対する猫の答えは、
「いいですよ」
と至極アッサリしたもので、ではそう決まったのなら誰かに一応案内を頼みましょう、
清光くんは一緒に今剣くんと今日の日課こなしにいきますよ、と言われてしまえばついていくしかない。
「常磐さぁん」
「どうしたんですか、清光くん」

前をとことこと歩くその尻尾の揺れにいつもと違う様子は見られない。
「やけにあっさりしてんなと思って」
「そうですか?」
「戦力欲しくないの?」
「欲しいです。まぁ彼が力になってくれれば助かることは確かですが…、
正直今の編成でもやれないことはないと思いますし…」
あと、とその足が止まる。今剣の声が聞こえたのだろう、耳がぴくり、と動く。
「あと、この展開は正直予想してました」
「あれ、そうなの?」

意外だ。この猫は歴史は苦手だとか言って、
仕事においても政府がああしろこうしろと送ってくる指令書通りの仕事以外は一切と言っていいほどしないのだから。
その猫が。自らの呼び出す刀剣男士についての予想が出来るなど、と。
「今回はちょっと勉強したんですよ」
えへ、と猫は笑う。多分笑った。
「彼はですね、刀でありながら象徴としてしか使用されていなかったようです」
言った内容はあまりにざっくりした話だったけれども、最初の頃を考えれば目覚ましい躍進だ。
加州清光は思わず目頭を抑える。
「ですから、まぁ、少し捻くれているんでしょうね」

あれを少し―――なんて言ってしまうのは、どうかと思うけれど。
「それに働きたくないという子を引き止めて食い扶持だけ増やすなんて真似、
出来るほどうちに余裕ありませんよ」
畑仕事増えますよ、と言われれば、それは勘弁、と返すしか出来なかった。





20150917