触れられた瞬間から、自分が何をすべきか分かっていた。
―――歴史の改竄を止めよ。
そんなもの、人間たちだけでやれば良いのに。

呪いと猫とあかさたな 

 加州清光はぱちり、と目を開けた。人間のような身体。数度手を握ったり開いたりしてみてから、起き上がる。
「加州清光くんですね」
声がした。こうして加州清光を顕現させた、審神者とやらの声だろう。
 何処だろう、と辺りを見回した。人影は、ない。
「此処、此処ですよ、清光くん」
足元から聞こえるような気がする。まさか、審神者は子供なのだろうか。清光の在った時代にも刀を握る子供がいない訳ではなかったが、こんな見回しても目に入らないような幼子が、形は違うとは言え、戦に駆り出されるなんて。
 そう視線を下ろした足元には。
「………猫?」
「はい、猫です」
三角の耳、釣り上がった大きな目、長く伸びた尻尾、艷やかな黒の毛並み―――猫だ。何処からどう見ても猫だ。持ち上げる。わー、と猫が声を上げる。どうやら雄らしい。そんなにまじまじ見ないでくださいよ、という猫の声も耳に入るだけで頭にまで入っていかない。抱きかかえて喉の辺りを掻いてやるとごろごろと気持ちよさそうに声を上げる。猫だ。どう見ても猫だ。
「猫ォ!?!?」
「はい、猫です」
きれいな桃色をした肉球がぷに、と頬に押し当てられる。
「これから、よろしくお願いしますね」
 それが、加州清光と審神者を名乗る謎の猫との出会いだった。





20161202 編集