いつか君がいなくなる未来まで せめて可哀想、だとか。 そういうことを思えたら何か変わっていたのかもしれないな、と思うのは多分、人間の在り方なんてものが分かってしまって来ていたからだった。それが一体どういうことを示すのか、にっかり青江にはよく分からない。思い返してみると、歌仙兼定は最初から彼女に寄り添うような仕草をしていたように思う。政府の定める五振りの刀、所謂ところの初期刀とやらは、もしかしたらにっかり青江や他の刀剣男士とは違ったものの見方を、いち早く会得していたのかもしれなかった。今となっては、負け惜しみにしか聞こえない、だろうけれど。まあ、どういう経緯であっても、結果は結果だ。今更思考を辿ったところで変わるものがある訳ではない。況してやこの想いが消えてなくなる訳でもないのだから。 ならば、このまま、散っていくのも一興であろうと。 「主」 いつものように呼ぶ。 「朝だよ」 彼女は紛れもなく人間であるのに、今日も正しく人間のような顔の準備が完了したのを見て、誰にも知られないように胸を撫で下ろす。 此処に、彼女を害するものはいない。いない、はずだった。 にっかり青江はいつか、自分が彼女の敵になることを知っていた。これが、せめて夢見ている、などと言ったものであったら良かったのに、とは到底思えはしなかった。 20210512 |