雨音 米→英

*米がなんか病んでる

 その日は雨が降っていた。
 会議が終わった後だった。
「イギリス」
「…アメリカか」
振り向けば、そこにはアメリカが居た。いつものようなおちゃらけた表情はなく、至って真面目な顔をしている。
「…アメリカ?」
「ちょっと話がしたいんだ」
有無を言わせぬ強さで、腕が掴まれた。そのままイギリスはアメリカに引っ張られていく。
「ここじゃいけないのか?」
「人に聞かれたくない話でね」
振り返ったアメリカの笑顔は、何処か胡散臭かった。嫌な予感がイギリスの胸をよぎる。
「アメリカ…?」
「此処でいっか」
アメリカは物置部屋のドアを開けると、イギリスをそこに放りこんだ。それから自分も入ると、
 バタン
音を立ててドアを閉める。
「話って、何だよ?」
イギリスが訝しげな顔をした。暗い部屋。古ぼけた電球が一つあるだけ。
「イギリス…俺のものに、ならないか?」
「ふざけんな」
イギリスは間髪入れずに返す。電球に照らされるアメリカには、もう幼い頃の面影はなかった。それがイギリスのプライドを更に刺激する。
「何が哀しくてお前の領土にならなきゃいけないんだよ」
「領土じゃない」
「じゃあ何だ? 植民地か?」
何を言い出すかと思えば、とイギリスは顔を歪めた。でかくなったからって、しゃしゃりすぎだ。
「違うよ」
アメリカが一歩前に出てきた。距離が縮まる。身長差から、イギリスが見下ろされる形になった。
「国としてじゃない…君℃ゥ身が欲しいんだ」
「―――!?」
一瞬、空気が凍った。
 「…は、馬鹿じゃねぇの」
沈黙を破ったのはイギリスだった。
「話はそれだけか?」
アメリカの横を抜けて、ドアに手を掛ける。
「俺はもう行くから…」
 ゴリ…
後頭部に堅いものが押しつけられた。
「残念だなぁ、イギリス。手荒な真似はしたくなかったのに」
押しつけられているのが何か分からない程、平和ボケはしていない。
「抵抗しないでくれよ? もしかしたら何かの拍子に、引き金を引いてしまうかもしれないから」
冷や汗が吹き出す。アメリカは空いている方の手を回し、イギリスの首に触れる。
「俺の性格、知っているだろう? 手に入らないのなら―――」
 力ずくで、手に入れるまで、だよ
 耳元で囁かれた言葉。雨の音がひどく、耳に付いた。



20090628



20180509 編集