溺れる三角錐:黒←桃
初恋は叶わない。
そんな言葉に踊らされた訳じゃない。
けれども、桃井の中には確信とも言える予感が渦巻いていた。
ああ、この人がすきだ。
それは確かな恋の色、そして初めてのもの。
それでもそれと同時に分かってしまう。
これは、叶うことのない想い。
それが、桃井さつきが黒子テツヤに恋をした瞬間、感じたことだった。
それを認識したのは、もっと遠く、幼い頃のことだった。
ふとした瞬間に訪れる、まるで神様の言葉みたいなそれ。
『ああ、明日あの子にはきっと会えない』
そう思った次の日、その子は突然の事故で亡くなってしまった。
回避することは叶わない。
一人で頑張るからだと、その想い人なら言うかもしれないが、
桃井のそれがそういった努力や分かち合いでどうにかなるものではないのは、
桃井自身が痛いほどに分かっていた。
ただ、それでも。
「何もせずに諦めるなんて、女の子として悔しいじゃない」
誰に言うでもなく呟く。
どうにかなるからだとか、そんな打算的なものではないはずなのだ。
それなら、この想いが死なない限りは、これに寄り添ったって良いのだろう。
だから、
「お願い」
今だけ、普通の女の子みたいに、
「あいさせて」
20130705