「アイツはやめとけよ」 思わず声が出たのはあまりに無謀な行為をしようとするのを見てしまったからだった。 「分からないほど馬鹿じゃないだろ」 夜の光に照らされて、誰もいなくなったプールサイドに入り込む。 まるで青春。秘密の共有、山崎と古橋、二人だけ。 ―――と思っているのは、古橋だけだろう。 山崎には彼の後ろで踊る姫とお姉様方が見えるし、校舎からピアノの音だって聞こえる。 「な? 悪いことは言わねえからやめとけ」 何よりも不思議現象に愛されている古橋に、手を出そうなんて何を食らうか分からないのだから。20150518月光のプールサイドに腰かけて誰を迎えに来たる悪霊 / 寺山修司