焦げ付いたその羽根で飛んでみせて 

 お前のさ、その羽根が。
 原は言う。何を言うのだろうな、と思いながら灰崎は寝返りを打つ。
「なくなっちゃってよかった、って言ったら、お前はオレのこときらいになるかな」
「切り落とすとか言った奴の台詞じゃねぇな」
「…そだね」
「お前はさぁ」
何を続けたら良かったのか。言葉に詰まる。
「オレに遠慮とか、今更だろ」
「うん」
「暴力もふるうしさ」
「…うん」
「でもオレはお前のこと好きだし、嫌いになれねぇよ」
馬鹿な話だ。呪いの根源を、隣に置くような。
「…うん」
それでも、その笑みを幸福だなんて思うのだから。
 ああ、すくわれない。



hafen
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20151127