「隣の席だね、よろしく」 貼りだされた自分の名前を見つけ、クラスに足を踏み入れ自分の席に座って一息。 そう掛掛けられた声の方を向けば、あまりに綺麗な笑顔を湛えた少年がいた。 指定のリボンタイが銀色に縁取られているのを見ると、どうやら彼は奨学生らしい。 この学校は一学年がだいたい二百五十人くらいで、 その中でも奨学制度を受けられるのは難しい試験を乗り越えた十数名だけと言われている。 つまり今、山崎の隣に座っている彼はとてつもなく頭が良いということだ。 「…よろしく」 そんな頭の良い奴が突然話し掛けて来たというだけでも驚きなのに、 その頬に乗せられた笑みの質もまた、山崎を驚かせた。 何度も、見てきたものと同じだった。 差し出された手に応える。 「オレは花宮真。君は?」 「山崎弘」 強く握られたその手は、思っていたよりも温かくて驚いた。20140204