融ける眸
鏡を覗き込む、其処には真ん中がどろりと曇った私の目があって。 「うええ、やば」 私のどうにもやばく聞こえないであろう軽い声に、君ははてなを飛ばしてこちらを見遣る。 「コンタクトしたまま寝たらすごいことになった〜」 振り返ってそのグロい様を見せて、また笑って。 「へぇ」 興味の欠片も示さないで立ち上がってしまったそんな君の後ろを、 今日も今日とて軽い足音を立ててついていく。 いつもよりも君の背中が明瞭に見えて、ただのクズな君がそのままで、私は一人笑う。 表面から消えた色眼鏡。 私の視界はクリア。
20140110