めでる貴方のしゃれこうべ
女は歌いながら、しゃれこうべを撫でていた。 「何故あなたは歌っているんですか?」 牧師が聞いた。 「愛する人を天に召すため」 女は歌うようにして答えた。 「何故あなたは、しゃれこうべを抱えているのですか?」 坊主が聞いた。 「愛する人を忘れないため」 女は歌うようにして答えた。 「誰が」 神主は聞く。 「あなたを殺したのですか?」 「それは私」 しゃれこうべは歌い続け、そこには首のない女が、 しゃれこうべを愛でたまま、ずっとそこに座っていた。
執筆日不明 / 旧拍手