哀しい温度
「ねぇ」 少女は手を伸ばした。 「………」 少年は困ったように少女を見やる。 その瞳の光の意味を、少女は知っていて。 だから、手を下ろした。 「良いよ」 少年は手を伸ばし返す。 そして、少女の手を握った。 その温度が、いかに哀しいものか、知っていて。
執筆日不明