執筆日不明 / 旧拍手百均ビニールガサ 「百均だろ…コレ」 少年は呟く。 「バレたー?」 少女はあはは、と誤魔化すように笑ってから、 「でも、大丈夫でしょ?」 言った。 「そりゃ大丈夫だけどさー」 少年は何だかなぁ。とため息を吐くと、傘の柄を握りしめた。 「でも」 少女は目を細めて空を見る。 雨の降っている空。 はしっこ。 「良いことも、あるよ?」 明るくなりはじめて。 「普通のカサだったら、こんなにクリアに見えないでしょ」 ぽちょん 水たまりの中の空に、カサからの水滴が落ちて、小さく、音をたてた。