20150603ハッピーしいたけライフ でも貴方には会えないね 洞窟の奥には炭酸水が湧いているんだよ、そう言っていた幼馴染みは役人の逆鱗の餌食になったらしい。 誰でも良かったんだ、そういうことを聞いたので、 なんだ、誰でも良かったのか、と幼い僕はそう思った。なので、誰でも良いから復讐しようと思った。 そうして自分と同じくらいの都会から来た女の子を、 思い出の炭酸水で溺死させた時、なんだかとても誇らしくなった。 炭酸水、洞窟、逆鱗の * エリーはエリート ビジネス依存なのよ、と愛しい偶像は言った。 「私がただの歌手でいられないことが証明しているじゃない」 人の心を動かすだけではだめなのだ、と彼女は言う。 私はそれに反論する術も持たないで、ただオレンジジュースを啜っていた。 * 世界はハゲに優しくない。 広場が見下ろせるその場所で、僕は焔の端を握っていた。これを手放せば広場は火の海だ。 さてどのタイミングで、と思ったところで眼下を薄毛のおじさんが通った。 そのあまりの薄さに同情して、今日はやるのをやめようと思ったを思った瞬間手が緩んで、 広場は火の海になった。おじさんも焼けてしまった。もったいないことをしたなぁ、と思った。 薄毛、広場、焔の * ぐーはちょきに勝てない(リアルファイト) 豚だ豚だと言うがアイドルなんて信奉してなんぼである。 そもそもアイドルというのは偶像という言葉から来ているのだから、そんな論争なんて無意味である。 そういう訳なので、最後の一つを手に取った、 それが同じタイミングであったことで名も知らない二人の心は決まっていた。 「じゃんけんぽんっ!!」 じゃんけん、アイドル、豚 * 微分積分 ネットにかじりついている娘が雷切だの千鳥だの言い始めたのは去年の暮れのことだ。 どうやら漫画にはまったらしい。それは別に良かったのだが、 とうとうその娘が二次元好きが高じてパソコンの中へと入っていってしまったので、 どうしたら良いのか解決策を募集している。 ネット、娘、雷 * 私の唯一の友人 うるさいうるさいうるさい。周りの言葉なんてすべてノイズだ。 男装が趣味だとか、本当は女の子だとか、頭が可笑しいとか。全部、ぜんぶ。 笑って気にすることないと言ってくれた、友人の表情が浮かぶ。 もらったクッキーは炭の味がした。信頼の味がした。 ノイズ、男装、クッキー * 趣味の違う二人 カラオケの画面の中ではクワガタがチョップされていた。手元の本ではハンターが飛び回っていた。 「カラオケきて漫画読んでるってどうなの」 「別に、あるからいいんじゃない?」 クワガタ、カラオケ、ハンター * 復讐屋 バイクが奈落の底へと落ちていく。その乗り手も一緒に。 「あーあ、ほら、自分に返ってきたでしょう?」 モニターの向こうの彼に湧き上がる笑みを隠せないで、僕はそう呟いた。 奈落の、モニター、バイク * ハッピーしいたけライフ 人間の後悔はその人の頭に巣食うのだと言う。 「だから人の骸骨からはきのこが生えているのかい?」 「そうじゃない? しかも毒きのこ」 後悔、きのこ、骸骨 * 首が痛い 日本の植物は小さくて可愛らしいね、と王子が笑うのを私は困惑を押し殺して見ていた。 日本の植物がどうとかではなく、彼がただひたすら大きいだけなのだが、それを指摘する術はない。 植物、王子、日本 ライトレ