「やっほーい、いずみいるー?」
突然、晴天の黎明堂にやって来たのは、
「ありゃ?お、君が涼水チャンかー」
一言で表すなら…えっと、チャラ男?
(一)
「いやーごめんね。そいえば涼水チャンと合うのは初めてだったよね」
いずみと知り合いらしき客はにへらと笑う。
とりあえず居間に通してお茶を出して、
いずみを呼びに行こうとした所でその前にちょっと話そうよ、
と引き止められて涼水はソファに座らされる。
「あの…えっと…」
「ん?」
言葉を探している涼水に客は首を傾げた。
その動作には心なしか幼さが感じられて、そのちぐはぐさに更に戸惑う。
「ど」
「ど?」
選択肢。
一、どうしました?
ニ、ドラッグはありませんよ。
三、泥棒さんですか?
四、どてっぱらに穴を開けてやる(by花より●子)。
五、
「どちら様ですか?」
どうやら涼水は真面な選択肢を選ぶことが出来たらしい。
客を見やる。
スーツにサングラス、黒髪からチラチラと覗くピアス。
やたら軽そうな少年。
「どちら様って…っぷ、」
あはははは、と客が笑い出す。
きょとん、とする涼水。
何か可笑しなことを言っただろうか、一番真面な選択肢だったはずなのだけれど。
「あの…」
「ごめんごめん、そんなこと聞かれるの久しぶりだったから。
確かに分かんないよねー、最近一般人と喋ることなかったからさぁ」
一般人、そんな風に言うということは、彼は一般人ではないのだろうか。
「そうだな、俺はユウって呼ばれてるよ。年はねぇ、君の二つ下」
「へぇー…って、年下!?」
「え、何かまずい?」
まずくはないがただ見えない。
涼水の二つ下というなら彼は現在十五歳ということになる。
十五歳には見えないチャラさである。
流石にそんなことは言えないのでどうにかこうにか絞り出した言葉は、
「お若いですね…」
「良く言われるー」
そんなものだった。
「それで、ユウさんは何か用事が?いずみなら奥にいると思いますけど」
早く呼びに行かせて欲しいと言外に伝えるが伝わるかどうか。
ユウは忘れてた、というようにああ、と手をわざとらしく打って、
「そう、借金の取り立てに来たんだよね、俺」
はあ!?と涼水が軽いパニックを起こしたのは言うまでもない。
← □ →
20141001