「あー。部長の伊加野円(いかのかず)だ。よろしく」 「副部長の幸村栄(さちむらはる)です。よろしく」 部長、副部長から、一年に自己紹介をしていく。 はっきり言って退屈だ。 一年とは半年も付き合わない。 だから、名前と顔は一致しないし、プライベートで付き合う事もない。 なのに、何で自己紹介なんかしなくてはいけないんだ。 「おい、真神。次お前だぞ」 伊加野が僕の方を向く。 僕は黙って伊加野を見た。 「とりあえず、簡単にしとけ。名前だけで良いから」 伊加野の言葉に僕は軽く溜め息を吐いて、一年の方を見た。 「真神英生(まがみえいき)」 自分の名前だけを吐き捨てる。 「英生はね、年下の人間が苦手なんだよ」 幸村のフォロー。 「苦手じゃなくて嫌いなんだ」 僕はつっかかる。 「こんな三年だけどよろしくな」 伊加野が勝手に締めた。 これが一年生が入ってきて初めての、バスケ部の様子。20121015