緑色の理由 ヒーローの朝は早い。通勤電車に揉まれ揉まれひどい目にあったりする。 それでも続けるのは。 「緑かっこいー!」 ちびっ子たちの笑顔という余りある対価があるからである。20150304対価、ヒーロー、通勤上も下も俺の手には負えない 「姉さんはどうしたの?」 弟の質問にランニングと答える。 「なぁ、姉ちゃんが養殖始めるとか言ってたんだけど」 「洋食? オムライス?」 「いや養う方…」 「何の?」 「そこまでは…でもリベンジとか言ってた」 「前に何かやってたっけ…まぁ何にしても応援しようか」 「お前はもっとなんかリアクションした方が良いんじゃないのか?」 「僕の分まで兄さんがやってくれるから別に良いだろう?」ランニング、養殖、リベンジ無間家の父 投資をしてくれ、と頭を下げてきた父に弟妹揃って顔を顰めた。 「投資って何の?」 「父さん何か成功したことあった?」 普通に問う弟に厳しいことを聞く姉。間に挟まれ俺は特に言うことがない。 「なんかほら、それは…天空から降りたつ雷、みたいな?」 訳わからんわ! と姉が叫んで―――宙を舞うちゃぶ台の幻想が見えた気がした―――父は家の外へ追い出された。 ご慈悲をぉ! との声が聞こえるが、姉と弟は既に夕食の内容について話している。 「アンタは何が食べたいの?」 「っあ? 俺? あー…鮭かな」 「鮭賛成」 「じゃあ鮭で」 はぁ、とため息を吐く。 先ほどのが我が家の顔と母への一途さ以外に誇れるところのない父である。天空、投資、雷姉ちゃんに逆らえないとかじゃないです全然ないです 今夜はお祝いだと思って。そう男は供述する。 「へえ、それで台所に立っていたと」 「ハイ」 「半裸で?」 「ハイ」 これはどう足掻いても父が悪い。 俺の就職の浮かれてくれたのはまぁ、 家族として恥ずかしながらも嬉しいところはあるが、半裸で台所に立ったのはいけない。 浮かれてというのは言い訳にはならない。 ごめん親父ありがとうでもごめん、呪文のようにそう呟いてから、可哀想な父からは目をそらした。お祝い、台所、半裸ラブロマンスよやっておいで! コンビニには魔の時間帯がある。 トレーニング帰りのお姉さんと嫉妬の的になっているお兄さんの来店がかぶる時間帯である。 というかお兄さんがお姉さんを待ち伏せというか一目見るまで帰らない時間がある。 仲間からきつい言葉を浴びせられながらも、お姉さんを見ると目を輝かせる、 そんなお兄さんの健気さにただのレジでいることに心が折れそうになる、そんな時間帯である。コンビニ、トレーニング、嫉妬のライトレ