茶色の三時 しっぽがゆらゆら揺れている。 「ああやっぱり美味しいねえ」 楽しげなその台詞に顔をあげると、弟がにこにこ茶色のお菓子を食べていた。 「ジジくさいな」 「何を言うんだ兄さん、かりんとうは人類の秘宝だ」 「どうでも良いけど一人で食うな」 手を出したら嬉しそうに袋を差し出された。20150304一人、しっぽ、かりんとう緑のヒーローは本物である いじめ、よくない。 世離れした弟が虐められるのを見てきた所為か、 うっかり虐められていた見知らぬ少年を助けてしまった。 その後なんやかんやで彼の知り合いらしいサングラスのお兄さんにスカウトなんかされて今に至る、 それがヒーローの軌跡である。いじめ、サングラス、スカウト完全無欠ねーちゃん なんか不完全って感じでちょっとね、というのは元カノの言だ。 大学を卒業してなんやかんや無職が決まって、その時にふと思い出したのだ。 不完全、なんて。 「人間なんて何処かしら不完全だよなあ」 そう呟きつつ浮かんだのは完全そうな姉の顔だった。元カノ、無職、不完全むま先輩のお姉さん 「先輩にお姉さんがいるって本当ですか?」 眼鏡を掛けた後輩がにこにこと問う。 「ああ、いるよ」 「学園を暗黒に染め上げたって本当ですか?」 「半分本当かな」 一体この不思議な先輩のお姉さんとは何者なのだろう。暗黒、お姉さん、学園なかよしおやつ 役者にだって弟と茶をする時間くらいある。 「今はどんなお芝居をやってるんだい?」 「カウボーイが聖剣を抜く話」 「わあ。兄さんは何の役?」 「聖剣」 「…見に行くね」 「おお、来い。最前列で見せてやる」お芝居、聖剣、カウボーイライトレ