掌に伝わるバスケットボールの感触。 毎日触ってるのに、何故か懐かしい感じがする。 「今年は」 僕は呟いてゴールを見つめる。 「絶対勝つ」 ボールが僕の指を離れて、リングに向かって行く。 ボールがリングに触れるまでの瞬間。その短い時間が、僕を最もドキドキさせる。 気持の良い音がして、ボールが落ちた。 これがシュートが入った音ならカッコ良いのだが、生憎そうでは無い。 「アイツには敗けない―――」 僕は距離が足りなくて、ネットをカスるだけに終わったボールを拾いながら、そう呟いた。