おにくにくにくおにくにく これは戦争である。 「お前肉ばっか食ってないで野菜も食え」 「焼肉は肉を食ってこそだろう」 「野菜もだ。肉は料理した人に譲れ」 「ひっくり返すだけじゃないか」 この宿主はどうにも力ではこちらが勝っているという事実を忘れがちである。 仕方がないので私がいつも引いてやるのだ。 これは戦争である。 時には負けてやることも大切なのだ。20150304焼肉、料理、戦争地球人の餌付け運動 ほい、と差し出されたのは丸いものだった。 「そういえばさ、」 「何だ」 もぐもぐと謎の物体を食べながら問う。 「地元にUFO来たって。お前の同族?」 「円盤の乗り物なら多分違う」 「へーそうなの」 「それよりこれは何という食べ物だ」 「アンパンだよ」 「そうか、うまい」 「そうか、良かったな」 なんとなく宿主は、嬉しそうに見えた。UFO、アンパン、地元つまらない約束。 鍋を囲んでいた時のことだ。 「これは日本にしかないのか」 「多分だけど」 「じゃあ他の国には何があるんだ」 「何って…いろいろ?」 首を傾げる。こっちだって生まれてこの方日本から出たことがないのに。 「他の国にも行きたい」 「いってらっしゃい」 「お前がいないとだめだ」 「なんで」 「お前は私の宿主だから」 そういえば忘れていたがこいつはエイリアンなのだった。 「…そういうモンなの」 「そういうモンだ」 「じゃあいつか連れてってやんよ」 小指を差し出される。 「地球人はこうやって約束をするのだろう」 「何処で教わった」 「渡辺さん」 「お前なんてそうコミュ力だけは高いの」 仕方がないので小指を絡ませてやる。 果たされるかどうかは知らないけれど。そもそも指切りに法的拘束力はない。 このエイリアンにそれが通じるとは限らないから、言ってやることはしなかった。日本、鍋、拘束エイリアンは運命を識る あの宇宙船は完璧だった、と今でも思う。 だから自分の放り出されたあの事故は、魂だとか何かに刻み込まれた設定だったのだと。 「つまり運命だ」 気色悪いからはやく星に帰れ」設定、完璧、宇宙船早く出て行け居候 ラノベもびっくりのこの状況が予めプログラムされて運命なんてものだったら、 そういう抗えないものに守られしこのエイリアンを永遠に倒せないことになる。 「それは困る」 「何故困る」 「早く出て行って欲しいからだ」ラノベ、プログラム、守られしライトレ