さよならだけが人生だ 思い切り地面に転がって身体の側面に泥がついた。あーあ、とHが声を上げる。 「大丈夫?」 思ってもいないことを彼は言う。いずみに頼まれたから、相応の代価を貰ったから。涼水に何を思っている訳でもないのに。思っていて欲しい訳でもないけれど。 「もう少しさぁ、大事にしなね」 何を、とは返さなかった。 Hにだけは言われたくなかった。立ち上がる。 「大丈夫です。…いずみに、追いつくのは無理だと思ってるけど…それでも、少しでも力になれるようになりたいから」 「そう」 「そのためなら、多少の無理くらい」 「人の話聞いてた?」 呆れたような声に、やっぱりHにだけは言われたくないと思った。 * http://shindanmaker.com/279018 *** |