ごがつついたち ねえ、と彼女の方からそんな中身のないような呼びかけをされるのは珍しいな、と思う。いつも神無咲イザヨイという人は要件から切り出すから。まるで友達に気軽に話し掛けるみたいなその呼びかけに、彼女が涼水と同い年だったことを思い出す。 「今日って何日だっけ」 少しばかりむすっとした顔。彼女の望みは分かっている。 「え? 今日? 何どうしたの、日にち感覚狂った?」 「…まあ、そんなとこ」 いつもだったら草希が何を考えているのか、この天才には手に取るように分かるはずなのに。ああ、まるで。 ―――人間みたいだ。 知っている、彼女がどうして日にちを聞くのか。今日が一体何の日なのか。 「五月一日だよ」 もう四月終わっちゃったねえ、と笑うとそう、とだけ返された。 「ありがと」 律儀に礼を言うのを見て、ご両親はそういう人だったのかな、なんて思ったり。そう、知っている。知っている、けれど。 今は言わない。 用意したプレゼントを思い浮かべる。喜んでもらえると良いのだけれど。 それは、もう少し、あとで。 *** |