おかしくなる 優しくしないで、と思う。煙草の匂いは覚えてしまった。一人暮らしの部屋に戻って何かが足りないなんて、思いたくなかった、と思う。 もう何にもなりたくなかった。 だから何もしなかったのだ。気持ちのすべてを切って、それで。悪い女であろうと、そんなことを。 「紅葉」 自分の声がどれだけ熱いのか知っている。 知っているから、すべてなかったことにしてしまいたかった。 * https://shindanmaker.com/159197 *** すきだよ、ばか 優しいことが良いことな訳じゃない、と分かっていても何度も何度もその優しいところばかりを目で追ってしまう。同じように生きているのだからそこそこにクズなところだって見てきているのに、どうして彼だったのだろう。 言えない想い、言ったら崩れる想い。 「いやあ、我々は馬鹿なのかもね」 そう言ってスミノフを煽った友人のことは無視することにした。 * https://shindanmaker.com/159197 *** いつもと、ちがう 雪が降っていた。エコバッグは忘れていない。ポイントカードもちゃんと持った。買い物メモもしっかり持って、書き忘れたものもなくて。 なんら代わりのない日だった。いつも通り氷月の帰りは遅いから、彼の分も夕食を作る、それだけ。 「ふふ」 溢れる笑み。 左手にはシルバーが光っていた。 * https://shindanmaker.com/159197 *** 20170423 |