白い白い、小さな、お墓がありました。 女の子はそこにいました。そこで見ていました。 男の子はそこにいました。そこで泣いていました。 白い小さなお墓の前。 (ねぇ、泣かないで) 女の子は話しかけます。 (泣いちゃだめよ) でも、声は男の子に届きません。 (水分のムダよ) (苦いの苦手でしょ?) (どうせコーヒーで補給するんだから) (砂糖入れなきゃ飲めないくせに) 届きません。 男の子の涙が、お墓を濡らしていきます。 (泣かないで) お墓は、海の見える丘にありました。 白い、小さな、かわいいお墓です。 男の子は、そこで泣いていました。 女の子は、そこで見ていました。 (ねぇ、泣かないで) 海の見えるお墓に、二人はいました。 ずっと、いました。二人で、いました。 ずっと。20070912(私のため、なんかに)