胸にぽっかりと穴が空いたと言うよりは、そこに虚無が広がっている、そんな感じだった。 少女はなにも分からないままそこにいた。 分かっているのは、自分が死んでいるということだけ。 全て、忘れた。 自分の存在も、自分の想いも。 少年が来て、自分の所で泣いていて、少しずつ、何かが満たされていった。 「でもね」 「泣いてほしい訳じゃないのよ」 その想いの正体も、少女は知らない。